あずきもなか 漫才

あずき「はいどーもーー。あずきもなかですー

もなか「よろしくお願いしますー

あずき「えー私ら“あずきもなか”いうコンビ名でやらせてもろてるんですけど、皆さん、私らのこと初めて見る方も多いんちゃうか思いますけど、この中で“あずきもなか”のこと知ってるよというかた、ちょっと手え挙げてもらってよろしいですか?

もなか「あらら、ほとんどのかたが手え挙げてはれへんけど、あれ?みなさん、“あずき最中”食べたことないですか?

じゃ、食べたことなくても“あずき最中知ってる!”ってかたは?

あずき「え、食べるてもなかさんそれ私らのことちゃうんちゃぅゕ

もなか「わ!ぎょうさん手え挙げてもろて。私らこんな有名人やってんな。

あずき「いやちょ、待ってーな。ややこしいな。会場の皆さんすんませんねぇ。そらあずき最中はたいがいの方が知ってはる思いますわ。昔っからある和菓子ですやん。

もなか「…ねえー、すみませんねぇ、私らもはよ和菓子のあずき最中みたいに有名になりたいなあなんて思てるわけですけど

あずき「そもそも、何故私らのコンビ名が“あずきもなか”っちゅうかっちゅうと

もなか「私らこれ芸名ちゃいますねん。本名ですねん。

あずき「そうなんです。生まれたときから“あずき”と“もなか”でやらせてもらってます。

もなか「あずきさんあずきさんは何であずきさん言うんですか?

あずき「何やのその質問唐突に(笑)何や聞いた話やとな、うちのお母ちゃんがめっちゃ甘いもん好きで中でもお饅頭が大好きやったらしいわ。

もなか「それで“あずき”。

あずき「せやねん。

もなか「単っ純っやなー。おかんもうちょい頭使われへんかったん?

あずき「お母ちゃんの悪口言うなー!

もなか「せやかてもし甘いもん苦手な人がそばにおって“私、小豆にがて~”とか言われたらちょっとヘコまへん?

あずき「…ちょっとな。昔好きやった同じクラスの男子が“オレ小豆嫌い~甘すぎるやん”って言うの聞いて自分のこと嫌い言われてるて感じてひっそり一人の時に泣いたわ。

もなか「ちょっととちゃうやん。泣いてるやん。でもまだよかったんちゃうか?名前が“まんじゅう”やのうて

あずき「うわっもなかさん、ゾッとするようなこと言わんといてや。私も名前の由来聞いてほんまにそれ思たもん。“まんじゅう”っちゅう名前つけられたかも思たら“あずき”でよかった神さまありがとう、やで。

もなか「ほんまやな。

あずき「そういうもなかさんは、何でもなかゆう名前なん?

もなか「何や子供の名前に“ま行”を使いたかったらしいわ。

あずき「は?

もなか「“ま行って何か可愛ない?”って感じで

あずき「もなかさんの母ちゃんこそあったま悪そうやで。

もなか「うるさいわ。で、“ま行”の中でも“も”って可愛いよねって。

あずき「ますます訳わからん

もなか「で、“もなかってどう?”“かわいい!”って

あずき「アホか!ペットの名前考えてるんと勘違いしてるんちゃうか?

もなか「一応人間の名前を考えとったらしいわ。で、うちで当時飼ってた犬の名前が“チョコ”と“みどり”。

あずき「え、え、ちょっと待って。“チョコ”と“みどり”?犬が?で、あなたが“もなか”?もなかさんのお父ちゃんとお母ちゃん、もしかして犬と人間の名前を間違えてつけてもうたんちゃう?

もなか「ん?

あずき「いや、だってそうやん。“もなか”“チョコ”“みどり”やったらこの中で一番人間ぽいのは“みどり”ちゃうか?唯一食べ物ちゃうし。

もなか「母ちゃんがつけたのが“もなか”。父ちゃんがつけたのが“チョコ”。一緒に住んでたばあちゃんがつけたのが“みどり”

あずき「あーちゃー。おばあちゃーーん!

もなか「ばあちゃん、五月みどりのファンやったらしいわ。

あずき「たとえ由来は何であれ、おばあちゃんが人間の名付け親やったら…

もなか「後の祭りとは正にこのことやね。

あずき「私“年の功”いう単語がこない身に染みたことないわ。

もなか「私もな、小さいころは“もなかちゃん”呼ばれて全然違和感なかってんけど、さすがにこの歳になるとなぁ

あずき「せやなあ。公共の場で名前呼ばれんの恥ずかしいもんな。

もなか「“もなか!”て人混みで呼ばれたら必ず何人かが“え?人間の名前?”て振り返るもん。

あずき「私、夏に喫茶店でかき氷頼むときトッピングに小豆頼まれへんねん。これが“同族嫌悪”てやつかーつって。

もなか「あんたはまだしょせんトッピングやんか。かき氷なら“金時”、小豆を汁にしたら“ぜんざい”“おしるこ”て名前変わるし、そもそも“小豆”は“あんこ”っちゅう庶民になじみ深い俗称があるからありがたいやん。

あずき「いやいや、俗称ちゃうで。“あんこ”っちゅうのは小豆を砂糖を使って煮詰めたものやねん。いわば、小豆がなければあんこもぜんざいもおしるこもできひんししかも小豆はもち米と一緒に炊くとめでたい祝いの席で必ず登場するお赤飯にもなるんやで。

もなか「…よー知っとるな。

あずき「伊達に22年間“あずき”やってませんから。

もなか「まあ詳しなるわな。

あずき「敵を知るためにはまず己を知れ。ん?己を知るためにはまず敵を知れ?

もなか「ややこしいわ。あずきさんは何やかやゆうて結局小豆が好きやねんな。

あずき「そういうもなかさんは、最中好きちゃうん?

もなか「私、和菓子の最中は好きやで。おいしいやん。やけ、別に人前でも平気で最中食えるで。

あずき「黙って食ってりゃもなかが最中共食いしてるなんて、知らない人は知らないですから。

もなか「共食いちゃうわ。

あずき「うわ!もなかが最中食うてるーいうてな

もなか「あんたが一番バカにしとるやないけ

あずき「バレた?

もなか「もうええわ。

二人「どーもありがとーございましたー

 

注)記事中に登場する人物は実在する人物と一切関係ありません。悪しからずご了承ください。