もう“アブちゃん”とは呼ばせない 〜声優・阿部敦さん〜
"アブちゃん"
声優さんである彼のことを、私は日常こう呼んでいた。
“アブちゃん”という名前は弱虫ペダルに起因する。
アニメ『弱虫ペダル』の登場人物であり、箱根学園のスプリンター兼筋肉フェチ、泉田塔一郎(いずみだとういちろう)。
筋肉大好きで、自分の右大胸筋に「アンディ」左大胸筋に「フランク」と名前を付けて、ロードレース中に筋肉に話しかけている、ある種の変態さんだ。
ロードを回す時、
「アブ!アブ!アブ!アブ!アッブゥーーーー!!!!」
とかけ声をかける。
ちなみに、「アブ」というのは「abdominal muscles(アブドミナル・マッスル)=腹筋」
が語源らしい。
原作の漫画36巻では
「ボクのアブアブの雄叫びが聞けなくてさみしいかな?」
と敵を煽り、
「筋肉がよろこんでいる」
と胸筋をビクつかせ、チームメイトの黒田雪成(くろだゆきなり)に
「変態か」
と言われても
「ほめ言葉か」
と返す変態だ。
変態の自覚ありってやつだね。
37巻では、箱学のクライマー・真波(まなみ)に対し敵チームの総北は、走りが平凡なキャプテン・手嶋(てしま)を出したことに
「アッブゥウウウ!!
ブフゥ!!いや!!失礼だ
笑ってはいけないッ!!」
「ブフウ!!」
と、いやいや泉田のその笑い方の方が笑えるよ!!そしてかなーり失礼だぞ!!
とツッコまざるを得ない。
また、41巻ではインターハイ1日目でチームが一位を獲ったことに、心の中で
「よくやった三人とも!!
これが我が箱根学園のあるべき姿だ!!」
と言いながら、実際には
「アブ!!
アッブだ!!」
としか声に出ていない…!!
大丈夫か!?泉田…!!
…というように数々の名言がある泉田だけど、中でも私が好きなセリフは、3年生になり箱学のキャプテンになった泉田が、チームメイト・黒田雪成を呼ぶときに発した
「アブユキ!!」
だ。
「アブユキ!!」て!
誰かツッコんであげてー!笑笑
そこ笑うところー!!
え、違うの???
人によっては「泉田キモい」って意見もあるだろうけど、私はそんな泉田が結構好きだ。
筋肉モリモリなのに異様にまつ毛が長くて、1学年下の総北の鳴子(なるこ)に「まつ毛くん」と年上なのに「くん」付けで呼ばれてしまう彼が憎めない。
前置きが長くなった。
今年始めにアニメにじわじわハマって、手始めに弱ペダの声優さんの名前と、出演作をピックアップしてノートに書き出してみた。
(そういうところ、オタク気質なんだよね…)
一通りピックアップしてみたが、泉田の声優さんの「阿部敦さん」という人は、他の出演作に私の知っている作品はなく、いつしか私の中で「阿部敦さん=アブちゃん」となっていった。
そして、この秋。
アイドリッシュセブン の世界に足を踏み入れた。
アニメをチェックする時は、必ず声優さんの名前も同時にチェックする。
そこに、アブちゃんの名前を見つけた。
お!
アブちゃん居るやん!
珍し!(←あくまで私の狭い世界での珍しさ)
え、アブちゃん、歌うとかなりいい声じゃん。
アブちゃん役の時も、いい声だったし自信満々の張りのある歌声だったけど、泉田のキャラのせいで歌もキモいって言われたりしてたっけ。
アイドリッシュセブンのボイス担当キャラ逢坂壮五(おうさかそうご)は、財閥一族のエリート家庭に育ち、アイドルになるために家を勘当された、ちょっと訳ありの人物だ。
自分に自信がなくて行動する前に考えて考えてそれでも一歩がなかなか踏み出せない引っ込み思案で、でも誠実で仲間からの信頼も厚く、そして歌は「そうごがセンターでもいいんじゃね?」ってくらいには、上手い。
格好も、いい。
自分の中ではメンバー7人中3位内には確実に入る。
私の中の、アブちゃん。
アブちゃんは、アブアブ言っていた泉田塔一郎から、カッコいいアイドルの逢坂壮五へとキャラ変した。
というか、そうごの声優さんに“アブちゃん”なんて、おかしいじゃん。
だってそうごはアブアブ言ってないじゃん。
こうして、声優・阿部敦さんは“アブちゃん”から“逢坂壮五の声優さん=そうご”となった。
「妖怪アパートの幽雅な日常」の時はあまり思わなかったけど、そうご、いい声だな。
歌声もカッコいい。
アブちゃん、サヨウナラ。
そうご、こんにちは。
中の人は一緒だけど。
これからもよろしく。