眠たい病気⑤
昼間の眠気を改善する薬を飲み続けて数年。
薬さえ服用していれば日常生活に支障はほとんどなく、周囲に後ろめたい思いを抱えることもあまりなくなっていた。
そんな頃、結婚が決まった。
結婚に伴い遠方に引越しすることとなり、いつもの病院に通うのが難しくなった。
だが、仕事も辞めるししばらくはゆっくりして、働くとしてもせいぜいパートくらいかなという思いもあり、新しい病院を探すことはしなかった。
その後、眠い時は寝る生活をしつつ子供が2人でき、そんな中でも定期的に転勤があって働く機会はなかった。
もうこれで転勤はないねと生活が落ち着いた頃、パートで働き始めた。
工場の立ち仕事がメインなので仕事中眠くても本当に寝てしまうことはなかった。
でも身体がキツくて体調を崩し退職した。
その後は事務の仕事などしていたが、やはり座っていると気づいたら寝ていることがあった。
でも、若い頃に比べたら眠気のレベルは段違いだ。
車の運転も、この頃には前ほどの強い眠気は無く、眠くても何とか頑張って起きていられる程度になっていた。
加齢と共に眠気の症状は抑えられていくのかなと思った。
ある時、思い立って国家資格を取得しようと勉強をすることにした。
仕事が終わると図書館に寄り、学習室でテキストとノートを広げて問題を解く。
1年間頑張れば何とか合格できるのでは、いや1年で合格するぞと、図書館に毎日のように通い始めた。
眠気との苦しい闘いが再び始まるとは、この時はまだ思ってもみなかった。