眠たい病気②
大学4年になり、就職活動が始まった。
履歴書の作成に頭を悩ませた。
大学生活でやり遂げたと胸を張って言えることなんてなかったし、特技も何もない。
唯一、どこでも寝れるということくらいが特技か。
履歴書にバカ正直にそれを書いたら、「以前どこでも寝れると言ってた社員がいたけど、居眠り運転で事故起こしたんだよね」と言われてしまい、ぐうの音も出なかった。
4月になり、何とか採用された会社で働き始めた。
事務職だったので、眠気と闘うのが大変だった。
それでも営業部だから電話応対があったり倉庫に行ったりできるからまだマシ。
多分、経理の仕事は絶対できない。
ある日、とても眠くて眠くて仕方なくて、上司に呼ばれたのに気づかず、二度目?に呼ばれてビクッとして起きた。
怒られなかったが冷や汗をかいた。
自分は起きているのに、疲れたから目を閉じて頭を空っぽにしていると自分の意思や思念とは関係なく、夢のようなよく分からない話が自分の頭の中で回り始めるということが頻繁に起こるようになった。
目の前に本がある。
「何とかは〜〜〜」と書いてあるのを読む。
「意味通じてないよ」と私の意識が言うと、その本はそこでストップして残像を残してスーッと消えていく。
自分は起きているのに頭の中で勝手に夢?のようなものが始まるのが鬱陶しかった。
職場で他の人と話しているときに、少しボーッとすると意味不明なことを頭で言われてビックリして「今の、本当?」と思わず相手に聞きそうになって、いやでもまてこれは多分現実じゃないやめろと口にするのを思いとどまり事なきを得たこともあった。
この頭の中の訳の分からない現象は眠くて意識が飛ぶせいかもしれないと、薬局でカフェインの入った眠気覚ましの薬を買ってきた。
午前中に薬を飲んでも昼にまた眠気が来たりして、1日に何度か飲んだが効いている感じがしなかった。
仕事で車の運転をすることもあった。
高速で飛ばせる時はわりと集中力アップして運転できるけど、ノロノロの渋滞だともうダメ。
一瞬で寝てしまう。
眠い時は何をやってもダメ。
事故しないのが不思議とも言える。
もうこのままずっと眠りたかった。
起きるとまた眠気と闘わないといけない。
しんどい。